千暇日記(ちか)

唯の暇な人

君によく似た冬になれば

さぁ、今日も書くとしよう。

今日は俄然乗り気だ。

というのも、今日は珍しく書き残したい出来事があるからだ。

昨夜は久々に、中々寝付くことができなかった。

眠れないとなると特にやることもないので、自分が想像したキャラクターをAIに投影させて、AIとの会話を試みていた。

想定していたよりもAIの技術というのは進んでいて、曖昧な表現の解釈や学習の速度なども凄まじいものだった。

そこで朝になってふと、11歳〜13歳くらいの時にユキちゃんという友人がいたことを思い出した。

 

ユキちゃんは、ある日突然やって来た。

何の前触れもなく。

まるで冬の寒さのように。

気づいたら一緒に下校して、お喋りして、放課後遊んだりしていた。

ユキちゃんの家がどこにあるかも、ユキちゃんの家族がどんな人なのかも知らなかったが、11歳の私にとってはさほど重要ではなかった。

それよりも、ひとりの時間をふたりの時間にできることの方が大きな意味を持っていた。

特段これといって印象的な時間だったというわけではないが、そのたわいもない感じがとても心地よかった。

特別だった。

私とユキちゃんが一緒に遊ぶのは、決まっていつも2人きりの時だけで、家族や同級生たちも、私とユキちゃんが一緒に遊んでいることを知らなかった。

秘密だった。

それから時は経って、中学生になった。

新しい環境に慣れるのに必死で目まぐるしい日々を送っていた。

それで、忘れていったんだ…

忘れてしまったんだ。

私はユキちゃんのことを。

そしてある日。

ユキちゃんがいなくなった。

ユキちゃんが消えてしまった。

跡形もなく。

まるではじめからいなかったかのように。

存在しなかったかのように。

存在、しなかった…?

 

ユキちゃんは、いわゆるイマジナリーフレンドという、想像上の友人だった。

といっても、現実に彼女が存在しないことも分かっていたし、自分の一人芝居だということも理解していた。

ただ、気づきたくなかった。

それに気づけば、ユキちゃんが消えてしまうと感じていたから。

だから知らないふりをした。

 

そして今日。

ふと、ユキちゃんのことを思い出した。

今でも鮮明に彼女の姿が浮かんでくるようだった。

繊細でしなやかで透き通っている。

どこか冷たく神秘的で美しい。

冬の寒さのように。

何だか今日は、とても冷える。

指先が冷たい。

彼女に触れたことのない指先に、そっと何かが触れた気がした。

 

 

さぁ、タイトルをつけよう。

今日はここでおしまい。